2020/10/27 10:34

 社員の賃金を決める上で考慮しなければならないいくつかの原則があります。

 ひとつは「同一価値労働同一賃金の原則」であり、これはさらに3つの要素が考えられます。

 ・ 内的公正

  個々の社員の賃金は、それぞれの従事する仕事の価値に応じて支払わなければならない。

・ 個人間公正

  同じ仕事をしていれば同じ賃金を支払わなければならない。

・ 外的公正

  世間相場の賃金を支払わなければならない。

 

 もう一つは「生活保障の原則」です。これは、誰もがある一定水準以上の生活を保障されなければならないという原則で、企業にとっては「再生産コスト」として考えます。

 日本における賃金制度を考える場合、生活費の原則を考慮する必要があります。 生活費への配慮が社員の安心感をもたらしているということを考えますと、生活費に全く配慮しない賃金制度というのは、日本の社会ではまだ早すぎるような気がします。

 

 さらに、賃金は企業における費用としての側面もあります。

人を雇用していくうえで、さまざまな費用がかかります。賃金はその最大の要素ですが、そのほか、厚生年金保険や健康保険などの社会保険料の雇主負担、福利厚生費や教育訓練費などが主要な費用となります。

 最近とくに注意したいのは、人口の高齢化の進展とともに、労使折半負担である社会保険料の増加が予定されていることです。すなわち人件費は、たとえ賃金部分が増加しなくても着実に増加していくことが確実なのです。

 そこで企業としては、賃金のみならず、人件費全体をしっかりと把握していかなければなりません。

 

 どの企業でも、可能な限り高い賃金を支払いたい、そして優秀な人材を確保したい、というのが偽らざる気持ちだとおもいます。しかし企業の売上げや利益が限られているとすれば、それほど高い賃金を支払うわけにもいきません。

賃金を引き上げるためには、社員1人当たりの付加価値を高める必要があります。