2020/11/12 10:07
基本給は、支払う賃金の基本となるもので、基本給をどのようにして決めるかが、賃金制度の骨格を決めることになります。
賃金は労働の対価であるという原則から、「仕事の要素」を反映しなければ意味がありません。
しかし「仕事の要素」といっても、職務遂行能力、職務内容、職種、職位の高さのどれを選択するかで賃金項目は異なってきます。
また、「仕事の業績」を反映することが公正な賃金につながるのはいうまでもありません。そこで基本給体系のなかに「仕事の業績」を反映する賃金を含めることが考えられます。
「勤続の評価」や「生活費」の考慮も基本給で行うことが考えられます。「勤続の評価」は勤続給で、そして「生活費」は年齢給で行うのが一般的です。(最近は減ってきているが)
○ 各賃金項目の補足説明
1.年功給(初任給積み上げ賃金)
学歴や性別、勤続などにより決まる賃金。勤続の長い人や年齢の高い人が高賃金となる。
高学歴化、女性の戦力化、高度情報化、高技術・OA化の中で意義が無くなってきている。
2.職階給
役職に応じて決まる賃金。成長拡大時はよいが組織が安定すると機能しなくなる。
役職は手当で対応するようにしたほうが良い。
3.職能給
職務遂行能力に応じて決まる賃金。能力開発の面では優れているが、職能の判定が難しく、
仕事と即連動しない部分がある。「今やっている仕事はさておいて、どんな能力を持っているか」で決まる。労働力対価の考え方であるが、労働対価ではない。
4.職種給
職種が変われば新規に職種とその技能や熟練度によって決まる賃金。労働力対価の考え方である。
5.能率給
何をどれくらいやったかで決まる賃金。労働対価の考え方で、合理的である。
6.職務給
今何をやっているかで決まる賃金。労働対価の考え方で、合理的である。
7.業績給
役割の大きさ(または目標の高さ)と達成度で決まる賃金。
8.役割給
企業から与えられた役割(仕事と責任のサイズ)で決まる賃金。職務給の一種。
9.年齢給
生活保障のための賃金。生計費曲線を参考に作ることが多い。
10.勤続給
中途採用者が不利になる賃金。労働の流動化が進む現在では逆効果。
長期勤続者への精神的満足を与える意味で、1年につき300円くらいの設定なら可能。
11.年俸制
日本では年俸一本ではなく、役割給と業績給に分解し、年俸としているケースが多い。